風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を併発する等、重症になることがあります。
風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を併発する等、重症になることがあります。
インフルエンザは流行性疾患であり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が広がります。日本では、季節性インフルエンザが例年12月〜3月頃に流行します。
新型インフルエンザもインフルエンザのひとつで、これまで人の世界で流行を起こしたことのないウイルスが、トリの世界やブタの世界から人の世界に入って、ヒトからヒトへ感染できるようになったものです。このため、新型インフルエンザは、毎年流行をくりかえす季節性インフルエンザと異なり、一般の方の多くが免疫をもっていないため、感染が拡大しやすく、私たちの健康や社会生活に大きな影響をあたえる可能性があります。
近年では、新型インフルエンザは、大正7(1918)年(スペインインフルエンザ)、昭和32(1957)年(アジアインフルエンザ)、昭和43(1968)年(香港インフルエンザ)、平成21(2009)年(インフルエンザ(H1N1)2009)に発生しました。しかし、世界に流行が広がり、人々が新型インフルエンザに対して免疫をもつにつれ、このような新型インフルエンザも、季節性インフルエンザと似た性質となり、季節的な流行を繰り返すようになっていきました。インフルエンザ(H1N1)2009についても、厚生労働省では、平成23年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱うこととしました。
次の新型インフルエンザウイルスはいつ出現するのか、誰にも予測することはできませんし、平成21年に流行したインフルエンザ(H1N1)2009とは異なる特徴を持っている可能性があります。人間界にとっては未知のウイルスであり、ほとんどの人は免疫を持っていないため、このウイルスは容易にヒトからヒトへ感染して広がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性があります。
平成21年度当時の新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行時には、人々が免疫を持っていないため大規模な季節外れの流行がおき、新型インフルエンザウイルスのみの流行が広がり、他の亜型のウイルスが流行しなかった、といった新型インフルエンザに特有の特徴がありました。
平成22年度においては、新型インフルエンザワクチン接種や、実際に新型インフルエンザに罹患したことによって多くの方が免疫を獲得し通常の季節性インフルエンザと同じ時期に流行が起こった他、新型インフルエンザに加え、A香港型やB型のインフルエンザウイルスもみられたなど、季節性インフルエンザと異なる大きな流行等の特別の事情は確認されませんでした。
このような状況を踏まえ、平成23年3月31日、新型インフルエンザについて、通常の季節性インフルエンザとして扱い、対応も通常のインフルエンザ対策に移行しました。 また、4月1日以降その名称については、「インフルエンザ(H1N1(エイチイチエヌイチ))2009(ニセンキュウ)」とすることといたしました。
今後、病原性やウイルスの性質に変化がないかどうか、引き続き監視を続けていきます。
インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分類されます。このうち大きな流行の原因となるのはA型とB型です。現在、国内で流行しているインフルエンザは、A/H1N1亜型とA/H3N2亜型(いわゆる香港型)、B型の3種類です。このうち、A/H1N1亜型は、インフルエンザ(H1N1)2009と同じものです。A/H1N1亜型のウイルスの中でも、平成21年より前に季節性として流行していたもの(いわゆるソ連型)は、平成21年の新型インフルエンザ(A/H1N1)発生後はほとんど姿を消しました。
流行するウイルス型やA亜型の比率は、各国地域で、また、その年ごとに異なっていますが、これらの3つの亜型は、現在、世界中で共通した流行型となっています。国内における流行状況の詳細は、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページを参照してください。
○国立感染症研究所 感染症情報センター
インフルエンザは、地域によって時期は異なりますが、世界中で流行が見られます。一般的には、温帯地方では冬(南半球では7〜8月)に流行が見られます。熱帯・亜熱帯地方では国や地域によりさまざまで、年間を通じて低レベルの発生が見られる地域や、複数の流行を見る地域もあります。流行株は地域によって若干の差はありますが、大きな差はありません。世界の流行状況は、WHOのホームページなどで知ることができます。
○世界保健機構 疫学週報
○国立感染症研究所 感染症情報センター
インフルエンザの流行は歴史的にも古くから記載されていますが、科学的に立証されているのは1900年頃からで、毎年の流行に加えて数回の世界的大流行が知られています。中でも、1918年に始まった「スペインインフルエンザ(原因ウイルス:A/H1N1亜型)」では、当時、インフルエンザによる死亡者数は全世界で2,000万人とも4,000万人ともいわれ、日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されています。その後、1957年には「アジアインフルエンザ(A/H2N2亜型)」が、1968年には「香港インフルエンザ(A/H3N2亜型)」が、そして平成21年度にインフルエンザ(H1N1)2009が世界的な大流行を起こしています。
インフルエンザに対する予防や治療などの基本的な対策は、季節性インフルエンザであっても新型インフルエンザであっても変わりません。
季節性インフルエンザには、A/H1N1亜型(インフルエンザ(H1N1)2009と同じ亜型)、A/H3N2亜型(いわゆる香港型)、B型の3つの型がありますが、A/H1N1亜型は、平成21年に流行した際には、基礎疾患のある方、妊婦の方、乳幼児やご高齢の方などが重症化しやすいことが指摘されました。また、A/H3N2亜型は、これまで、特に高齢者に大きな影響を及ぼしています。
全ての方にインフルエンザの予防のために手洗い、咳エチケットなど基本的な感染防止対策をお願いいたします。高齢者や、基礎疾患のある方は、特に注意をお願いします。
インフルエンザを予防する方法としては、以下があげられます。
酵母をカウントする方法
インフルエンザワクチンは、かかった場合の重症化防止に有効と報告されており、わが国でも年々ワクチン接種をする方が増加しています。
手洗いは手指など体に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず感染予防の基本です。また、外出後の手洗い、うがいは一般的な感染症の予防のためにもおすすめします。
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です。
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、疲労気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出をして人混みに入る可能性がある場合には、ある程度の飛沫等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することはひとつの防御策と考えられます。ただし、人混みに入る時間は極力短時間にしましょう。
※不織布製マスクとは
不織布とは「織っていない布」という意味です。繊維あるいは糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させて布にしたもので、さまざまな用途で用いられています。市販されている家庭用マスクの約97%が不織布製マスクです。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと徘徊する等の異常行動を起こすおそれがあるので、自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう(Q.14を参照して下さい)。
インフルエンザに対する治療薬としては、下記の抗インフルエンザウイルス薬があります。
ただし、その効果はインフルエンザの症状が出はじめてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断になります。
抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用には用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です(薬に添付されている説明文書を参照して下さい)。
薬剤耐性インフルエンザウイルスとは、本来有効である抗インフルエンザウイルス薬が効かない、あるいは効きにくくなったウイルスのことです。この薬剤耐性ウイルスは、インフルエンザウイルスが増殖する過程において特定の遺伝子に変異が起こることにより生じると考えられています。
薬剤耐性インフルエンザウイルスは、本来有効である治療薬に対し抵抗性を示しますが、病原性や感染性について、他のインフルエンザウイルスに比較して強いものは今のところ確認されていません。また、薬剤耐性ウイルスに関する遺伝子の変異は、ワクチンの効果に影響を及ぼしません。
わが国では、国立感染症研究所において、WHOと協力して薬剤耐性株のサーベイランスを行っています。現時点では、平成21年度に大流行をおこしたインフルエンザ(H1N1)2009でのオセルタミビル耐性株の発生頻度は低く、また、分離されている耐性株はザナミビルによる治療が有効であることが確認されていますが、引き続き薬剤耐性株サーベイランスを行い、発生動向を注視することとしています。
タミフル服用後に患者が転落死した事例等が報告されたことを受けて、平成19年3月には、予防的な安全対策として、添付文書(薬に添付されている説明文書)を改訂し、下記の注意を添付文書の警告欄に記載し、「緊急安全性情報」を医療機関に配布しました。
その後、タミフルの服用と転落・飛び降り、またはこれらにつながるような異常な行動や突然死などとの関係について、平成19年4月以降、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において調査・審議が行われ、副作用等報告、非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査等の結果を検討してきましたが、平成21年6月の同調査会において、
・タミフルと異常な行動の因果関係について、疫学調査の解析結果のみから明確な結論を出すことは困難であると判断された。
・タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴って発現する場合があることが明確となった。
南の海の帆船はどのように見えるん
・平成19年3月の予防的な安全対策以降、タミフルの副作用報告において、10代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていない。
ことから、予防的措置としての上記の対策(枠囲み)について、引き続き、医療関係者、患者、家族等に注意喚起を図ることとされました。調査会の資料は、厚生労働省のホームページの下記アドレスに掲載しています。
その後、平成22年8月21日及び平成23年11月2日に行われた安全対策調査会において、その後に得られた副作用情報等の評価を行いましたが、タミフルと異常行動との因果関係を示す結果は得られていないとして、引き続き、これらの対策を行うことが妥当とされております。
抗インフルエンザウイルス薬として、タミフルの他にリレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に走り出すなどの異常行動の発生が認められています。
また、インフルエンザ罹患時には、解熱剤のアセトアミノフェンを服用した場合や医薬品を服用しない場合でも、同様の異常行動が現れることが報告されていますので、インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、突然走り出して2階から転落するなど、危険なことにならないよう医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。
インフルエンザ罹患に伴う異常行動の研究については、厚生労働省ホームページの下記アドレスに掲載されています。
(異常な行動の例)
インフルエンザウイルスに抗菌薬は効きませんが、特にご高齢の方や体の弱っている方は、インフルエンザにかかることにより細菌にも感染しやすくなっています。このため、細菌にもウイルスにも感染する(混合感染)ことによって起こる肺炎、気管支炎などの合併症に対する治療として、抗菌薬等が使用されることはあります。
一般的に、インフルエンザ発症前と発症してから3〜7日間はウイルスを排出するといわれています。そのためにウイルスを排出している間は、外出を控える必要があります。 排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳等の症状が続いている場合には、不織布製マスクをするなど、周囲への配慮が望まれます。
参考までに、現在、学校保健安全法では「解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています(ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません)。
インフルエンザにかかるとはどういうことなのか、そのプロセスにそって、ワクチンの効果を説明します。
まず、インフルエンザにかかる発端はインフルエンザウイルスが体の中に入ってくることですが、これをワクチンで防ぐことはできません。まずウイルスを近づけないように手洗いやうがいなどが重要になります。
次に、体内へ入ったウイルスは細胞に侵入して増殖します。この状態を感染といいますが、ワクチンがこの感染を抑える働きは証明されていません。
ウイルスが増殖すると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛みなどのインフルエンザの症状が引き起こされます。この状態を発症といいます。ワクチンは、この発症を抑える効果については一定程度、認められており、65歳未満の健常成人で、70〜90%の発症予防効果があるとの報告があります。
発症後、多くの方は1週間程度で回復しますが、なかには肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方やお亡くなりになる方もおられます。インフルエンザの重症化とは、肺炎などの合併症があらわれることを指します。特に高齢者や基礎疾患のある方では重症化する可能性が高いと考えられています。ワクチンの最も大きな効果は、この重症化を予防する効果です。
※厚生科学研究費による「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))」の報告によると、65歳以上の健常な高齢者については約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったとしています。
以上のように、インフルエンザワクチンは、打てば絶対にかからない、というものではありませんが、たとえかかっても病気が重くなることを防いでくれるのです。ただし、この効果も100%ではないことにご注意ください。
なお、季節性インフルエンザワクチンの有効性については、国立感染症研究所のQ&Aに詳しく記載されていますので参考にしてください。
参考:国立感染症研究所 感染症情報センターホームページ
「インフルエンザQ&A(2008年度版)」(4)ワクチン接種
季節性インフルエンザワクチンでは、これまでの研究から、ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した(小児の場合は2回接種した)2週後から5カ月程度と考えられています。
今年度のワクチンは、平成22年度のワクチンと同じものですので、平成22年度にインフルエンザの予防接種を受けられた方は、すでにいったん免疫が獲得されたと考えられますが、時間がたつにつれ、抗体価(免疫力をあらわす指標のひとつ)は少しずつ低下していきます。 このため、今年度もインフルエンザワクチンの接種を受けたほうが、インフルエンザの予防に充分な免疫を保つためにはよいと考えられます。
散布されているもの
今年度の季節性インフルエンザワクチンは、インフルエンザA/H1N1亜型(インフルエンザ(H1N1)2009)と同じ亜型)とA/H3N2亜型(いわゆる香港型)、B型の3種類が含まれたワクチンです。
インフルエンザは例年12月〜3月頃に流行します。また、ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を要することから、毎年12月中旬までにワクチン接種を受けることが望ましいと考えられます。
今年度接種されるワクチンは国内で生産されたものです。ワクチンの製造販売業者は以下のとおりです。
一般財団法人 化学及血清療法研究所
一般財団法人 阪大微生物病研究会
デンカ生研株式会社
北里第一三共ワクチン株式会社
今年度は、約5,720万回分(約2,860万本)の3価ワクチンが供給される予定です(平成23年11月11日現在)。一部のワクチンが品質試験で再試験や不適合となった影響で、供給が遅れたほか、当初予定した供給量より少なくなっていますが、近年の供給実績と実際の使用実績などを見ますと、今シーズンの需要は概ね満たすことができるものと考えています。
ワクチンが混乱なく安定的に供給されるよう、各都道府県等にワクチンの偏在を解消する対策の実施をお願いしています。
インフルエンザワクチンの接種量及び接種回数は次のとおりとなっております。
(1)6カ月以上3歳未満の方 | 1回0.25mL | 2回接種 |
(2)3歳以上13歳未満の方 | 1回0.5mL | 2回接種 |
(3)13歳以上の方 | 1回0.5mL | 1回接種 |
1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合、12歳として考えていただいてかまいません。
インフルエンザワクチンについては、日本の小児の接種用量が、WHO推奨用量を基本とする欧米の接種用量よりも少ないことが指摘されていたこと等を踏まえ、製造販売業者より、小児の用法・用量を変更するための一部変更承認申請がされていました。
平成23年8月8日付けで、この申請が承認されたことから、今年から小児の接種用量が変更になっています。
東日本大震災等による被害を受けた地域においては、避難所での集団生活、仮設住宅等での生活が長期にわたり続いている方がいらっしゃいます。このような生活環境の中においては、体力の低下や免疫力の低下等が懸念され、インフルエンザにかかった際に重症化しやすいことも考慮し、ワクチンの接種や感染防止対策など、インフルエンザへの対策をとっていただくことをおすすめします。
平成21年10月から昨年度まで実施されておりました「新型インフルエンザワクチン接種事業」は、国が実施主体となり、地方自治体の協力の下実施しておりましたが、平成23年3月31日をもって、通常のインフルエンザ対策として対応する体制に移行することとなり、「新型インフルエンザワクチン接種事業」は終了いたしました。
そのため、今年度のインフルエンザワクチンの接種体制は、平成20年度以前と同様に、予防接種法に基づく対象者(【定期接種について】を参照)は、市町村が実施主体となって実施され、それ以外の対象者については、各自任意で接種をしていただくこととなります。
予防接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則的に全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。
しかし、予防接種法に基づく定期接種の対象者等については、接種費用が市町村によって公費負担されているところもありますのでお住まいの市町村(保健所・保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医などに問い合わせていただくようお願いします(定期接種の対象でない方であっても、市町村によって、独自の助成事業を行っている場合があります)。
以下の方々は、インフルエンザにかかると重症化しやすく、またインフルエンザワクチンの接種による効果が認められているため、定期の予防接種の対象となっています。予防接種を希望する方は、かかりつけの医師とよく相談のうえ、接種を受けるか否か判断してください。
(1) | 65歳以上の方 |
---|---|
(2) | 60〜64歳で、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当します) |
(3) | 60〜64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当します) |
地域の医療機関、かかりつけ医などでインフルエンザワクチンを受けることが出来ますが、自治体によって期間や費用は異なります。インフルエンザワクチン接種可能な医療機関や地域での取り組みについては、お住まいの市町村(保健所・保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医などに問い合わせてください。
予防接種法に基づくインフルエンザワクチンの定期接種が不適当と考えられる方は、予防接種実施規則に以下のように示されています。
<予防接種実施規則第6条による接種不適当者(抜粋)>
(1) | 明らかな発熱*を呈している者 *:通常は、37.5℃を超える場合をいいます。 |
---|---|
(2) | 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者 |
(3) | 予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーショックを呈したことがあることが明らかな者 |
(4) | その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者 |
また、以下に該当する方は、予防接種実施要領に基づく接種要注意者とされていますので、接種に際しては、医師とよくご相談ください。
<インフルエンザ予防接種実施要領に基づく接種要注意者>
(1) | 心臓、じん臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活が極度に制限される程度の障害を有する者(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当します) |
---|---|
(2) | ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当します) |
免疫をつけるためにワクチンを接種したとき、免疫がつく以外の反応がみられることがあります。これを副反応といいます。季節性インフルエンザで比較的多くみられる副反応には、接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)などがあげられます。接種を受けられた方の10〜20%に起こりますが、通常2〜3日でなくなります。
全身性の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などがみられます。接種を受けられた方の5〜10%に起こり、こちらも通常2〜3日でなくなります。
また、まれではありますが、発疹、じんましん、赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)など、ワクチンに対するアレルギー反応がみられることもあります。
そのほか、非常に重い副反応(※)の報告がまれにあります。ただし、報告された副反応の原因がワクチン接種かどうかは、必ずしも明らかではありません。インフルエンザワクチンの接種後にみられた副反応については、順次評価を行い、公表していきます。
※ 非常に重い副反応として、ギランバレー症候群、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎、けいれん、肝機能障害、喘息発作、紫斑などが報告されています。
平成21年10月〜平成22年9月までの、新型インフルエンザワクチンの接種後の副反応報告においては、報告医から接種との因果関係があるとして報告された事例は3例、また、平成22年10月〜平成23年3月の同副反応報告においては、報告医から接種との因果関係があるとして報告された事例は4例でした。
この副反応報告においては、死亡とワクチン接種の直接の明確な因果関係がある症例は認められませんでしたが、死亡例のほとんどが、重い持病をもつ高齢者でした。
資料は、厚生労働省のホームページの下記アドレスに掲載しています。
○平成21年10月〜平成22年9月分報告事例
平成22年度第2回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会(平成22年12月6日)
/stf/shingi/2r9852000000yt0k.html
○平成22年10月〜平成23年3月分報告事例
平成23年度第1回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会(平成23年7月13日)
重い基礎疾患をお持ちの患者さんは、いろいろな外的要因により、病気の状態が悪化する可能性もありますので、主治医及び専門性の高い医療機関の医師に対し、必要に応じて、接種の適否について意見を求め、接種の適否を慎重に判断してください。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。不活化ワクチンは、インフルエンザウイルスを不活化し(=殺し)、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して病原性を無くしてつくったものです。
ウイルスとしての働きはないので、ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありません。
予防接種法による定期接種の場合、予防接種を受けたことによる健康被害であると厚生労働大臣が認定した場合に、予防接種法に基づく健康被害の救済措置の対象となります。
また、予防接種法の定期接種によらない任意の接種については、ワクチンを適正に使用したにもかかわらず発生した副作用(感染等)により、健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による医薬品副作用被害救済制度または生物由来製品感染等被害救済制度の対象となります。
救済制度の内容については、下記のウェブサイトを参照するか、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご照会ください。
○医薬品副作用被害救済制度
○生物由来製品感染等被害救済制度
この他、平成21年・22年度の新型インフルエンザワクチン接種事業により生じた健康被害については、「新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法」により救済が行われます。
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