日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)
3節 効果測定
1 有効性の検証としての効果測定・続き テキストP233
*因果関係を検証する調査法(手順)
―独立変数、従属変数―実験前に必要な手順―
1)独立変数と従属変数の具体化
・ここでの「独立変数」とは、実験における介入=専門職による援助・働きかけのことであり、"原因"である。
・「従属変数」とは"結果"であり、介入=援助・働きかけによって、影響を受ける(と推測される)利用者の行動・状態(例えばADL)などのことである。
・操作化とは、従属変数を具体的に測定・観察・記録できるようにすることである。
観察,実験・測定したい課題・現象を観察,把握できるように操作化することが重要となる。
2)従属変数の変化の判定
・実験、効果測定では、利用者の状態や行動(=従属変数)が、介入・援助(=独立変数)によって、変化したのかの有無と、どのように変化したのかを判断しなければならない。
その為には、介入・援助を受ける前の測定の結果と、援助を受けた後の測定結果を比較し、変化を判断する必要がある=シングル・システム・デザイン。
もしくは、介入を実施する実験群と、介入しない統制群の測定結果を比較し、効果を判断する方法がある=集団比較実験
・ただし、その変化が実践・臨床上意味があるのかの判断は必要である。
*変数とは
・年齢やADLなどのように,人によって異なり,一人の人のなかでも時間とともに変化する要素がある。このようにバリエーションのある要素,あるいは変化する要素を変数とよぶ。
そうした変数のなかには,別の要素・変数が変化するとその影響を受けて変化するものと,他の変数の影響を受けないで単独に変化するものがある。前者を従属変数とよび,後者を独立変数とよぶ。
有理式を簡素化する方法
*因果関係の確立の必要条件
・援助・介入(独立変数)と、対象の変化(従属変数)に原因と結果の関係=因果関係があることを証明する作業が必要である。
・ラザースフェルド(Lazarsfeld, 1959)が提唱した、下記の3つの条件を満足しなければ、因果関係を証明できない。
・時間的優先
結果に対する原因の時間的先行性。つまり、原因が結果よりも先行していること。
・相関関係の存在
2つの変数間に相関関係があること。
・他の要因の排除
その相関関係が、第3の変数による疑似相関でないこと。
*相関関係
二つのものが密接にかかわり合い、一方が変化すれば他方も変化するような関係。
*集団比較実験計画法(集団比較実験デザイン)
<ポイント>
集団比較実験計画法は、対象・被験者を、介入・援助を実施する「実験群」と、援助を実施しない「統制群」に分けて、従属変数の測定を通じて、2つの群を比較することにより、介入・援助の効果を明らかにしようとする方法である。
<解説>
・ある集団に介入・福祉サービスを実施する前と実施した後に同じ従属変数を調査によって測定する。変数の値に変化がみられた場合でも、その変化が介入によって生じたのか、他の原因によって生じたのかを区別できるような調査の設計が必要である。
・実験計画のもっとも代表的なものは、調査対象を(介入)サービスを提供する集団(実験群)と、何も行わない集団(統制群) に分けて、(介入)サービス実施後に両者を比較する古典的実験計画法である。
重要なことは、実験群と統制群に振り分けるときに、くじ引きのような方法で無作為に分ける 無作為割当(分配)random assignment である。
そうすることで、両群の集団としての均質性を確保し、サービスを提供するかしないかだけが両群の相違点になる状態を設定することになる。
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(実験計画法の例)
例:「高齢者の生きがいの向上(結果)に対するグループワークへの参加(原因)の効果」を調べるために,グループワーク=独立変数に参加した実験群と参加しなかった統制群の生きがい=従属変数を比較するといったように,因果関係を確認する際に用いられるリサーチ方法である。
<実験計画法と因果関係の確立>
*統制と因果関係の確立
・因果関係を明確に確立するためには,独立変数(グループワークへの参加・不参加)以外は実験群と統制群が同じ条件である必要があり,誰が実験群に属し,誰が統制群に属すかを無作為に割り当てる必要がある。
*無作為割当(分配)
<概要>
被験者を実験群と統制群のいずれかに振り分けるとき、ランダムな割当の手続きをとる。クジなどをもちいてランダムに行なう。
<解説>
・無作為割当て法によって,被験者を介入(援助)を受ける実験群と,介入を受けない比較対象である統制群に分ける。
・無作為割当て法とは、実験計画法などにおいて,被験者がどのグループに属するかをサイコロや乱数表などを用いて無作為に割り当てる手続である。
例えば20人の被験者を,介入(例:課題中心ケースワーク)を受けるグループ=実験群と、統制群に振り分けて、介入の有無による効果を比較する場合に,各被験者にサイコロを振ってもらい,偶数ならば介入=実験群,奇数なら統制群というように無作為にグループの割当てを行う。(もしくは、くじ引き)無作為化(randomization)ともよばれる。
*マッチング
性別・年齢・障害の程度など、被験者の属性の割合が、実験群と統制群で等しくする。
ただし、被験者が実験群に割り当てられるのか、統制群に割り当てられるのかは、ランダムにおこなわれない
*ブロッキング
マッチングと無作為割当を組み合わせる。
*プラシーボ効果
実際に用いられた介入や援助による効果ではなく,たんに効果的な介入や援助を受けたという思い込み(プラシーボ=偽薬)によって症状や問題が軽減すること。
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<実験計画法の種類>
①単一グループ・プリテスト-ポストテスト法
・1つのグループに対して、実験を行なうデザイン。
*実験の流れ
事前測定 ⇒ 測定したい変数の投入=介入 ⇒ 事後測定
・事前測定と事後測定の結果を比較して、測定したい変数の効果を確定する。
・このデザインでは、外生変数をコントロールするのが困難である。したがって、因果関係を確定するには、実験計画法が必要になる。
*実験計画法
外生変数をコントロールする。
実験計画法によるグループ比較のためには、測定したい変数の違いだけが、グループ間(実験群と統制群)の違いでなければならない。
①プリテスト-ポストテスト統制群法
・古典的実験計画法とも呼ばれる。
無作為割当(グループ分け) → 事前測定 → 実験群にのみ介入 → 事後測定
・この実験計画法は、先ず、対象者を特定の介入(例えば、サービスの提供等)を実施する「実験群」と、その比較対象であり、前述の介入を実施しない「統制群」に無作為に割当てる。
次に、両群の観察・測定後、実験群のみに介入が実施され、統制群には介入を実施しない。その後、両群について、その効果の測定を経て、2つの群を比較研究することにより、介入の効果を確認しようとする方法である。
*古典的実験計画法
実験群 R O X O
統制群 R O O
R: 無作為割当によるグループ分け、O: 従属変数の測定、X: 独立変数の投入
(実験の経過は、左から右へ進む)
②ソロモン4群法
古典的実験計画法とポストテスト統制群法の組み合わせ
*ソロモン4群法
実験群1 R O X O
統制群1 R O O
実験群2 R X O
統制群2 R O
③ポストテスト統制群法
無作為割当(グループ分け) →実験群にのみ介入 → 事後測定
*ポストテスト統制群法
実験群 R X O
統制群 R O
*疑似実験計画法
実験計画法の無作為割当・グループ分けの問題点とは、無作為割当によるグループ分けは、実際には手間がかかって難しい。また、統制群に何もしないことは倫理的に問題がある。
①不等価統制群法
概要:既に存在する実験群に似通ったグループを比較する。
実験群を比較する既存のグループを「比較群」(比較グループ)と呼ぶ。
・統制群を確保することが実際には難しいため,実験群によく似た比較群を設定して行なう。
無作為割当により実験しているわけではない点が、問題点である。
社会福祉士受験支援講座
*レジュメ2に続く
<前回の講義レジュメ>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第12回講義レジュメ6/30 モニタリングとは 社会福祉士養成科
11章1節 経過観察(モニタリング) テキストP218
1 相談援助のプロセスとモニタリング・再アセスメント・効果測定・評価 テキストP218
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第12回講義レジュメ・後半6/30 再アセスメント、効果測定 社会福祉士養成科
11章2節 再アセスメント 1 再アセスメントの手順と援助の方向 テキストP229
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法
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