=2012年2月4日=
「とん汁ラーメン」は新潟県上越地方の一般食堂を中心に提供されている定番メニューである。とん汁定食がメニューにあれば、多くの店で食べることができる。だが、とん汁の中に中華麺を入れただけの食べ物のどこが珍しいのか、と疑問に思う人が多いはずだ。なぜか、上越にしかない不思議なラーメン「とん汁ラーメン」の秘密を探ってみた。
さて、札幌名物のみそラーメンは、昭和30年代に「味の三平」が、客の要望でとん汁にラーメンを入れたのが始まりとされる。一般的にコーンやバターを入れるのは、チェーン店のどさん子が定着させたのであり、本来のみそラーメンとは違う。そうだとしたら、みそラーメンと、とん汁ラーメンはどこが違うのだろう。疑問は深まるばかりである。
まずは、「とん汁ラーメン」が珍しいかどうかをネットで検索してみた。
「豚汁ラーメン」で調べると、上越地域の店のほか、滋賀県高島市の「白ひげ食堂」や、岩手県洋野町「食の館」、岡山県玉野市の「萬福軒」、愛知県稲沢市の「新潟ラーメン一龍」など数店があった。一方、「とん汁ラーメン」では、ほとんどが上越地域の店だった。
オハイオ州クリーブランドの男の子が窒息ゲームをプレイした後に殺した
つまり、全国に店が点在しているものの、上越地域のようにまとまっていないことが分かった。
「とん汁ラーメン」食べ歩き
次に、上越地域では何店が「とん汁ラーメン」を提供しているのだろうか。ネットで調べた結果、5店で提供していることが分かったので、食べ歩いてみた。(このほか、季節限定で出している店もあるし、メニューになくても作ってくれる店も多い)
★松茶屋(妙高市柳井田)
白みそ仕立て。大きな豆腐と、大きなバラ豚肉、ジャガイモ入りが特徴。タマネギは口の中でとろける。
★たちばな(妙高市栗原2)
とん汁が名物の店。スープはラーメン用のものとブレンドしている。メンマがトッピングされているのが特徴。冷たい麺を温かいどん汁につけて食べる「とんそば」もある。単品の「かんずり」をトッピングしてもおいしい。
★バッファロー(上越市板倉区針)
差別化が難しい豚汁ラーメンと味噌ラーメンの両方ともメニューにある。ワカメがのっているのが特徴。白みそ仕立て。
ストックトンカリフォルニア州の大恐慌のイベント
★みさと食堂(上越市今池)
とん汁ラーメンと味噌ラーメンの両方があるが、とん汁ラーメンの方が100円高い。白味噌仕立てで、深みのある味わい。
★七福食堂(上越市幸町)
とん汁は従来からメニューにあったが、最近「とん汁ラーメン」が加わった。デカ盛りで知られる店だけあって、具も麺も多い。メンマがのっている。
「とん汁ラーメン」のルーツを探る
この中で、1980年代前半からいち早く「とん汁ラーメン」の提供を始め、今日では1日平均30~40食は出るという妙高市柳井田の「松茶屋」の林傳文専務に話を聞いた。
当時はラーメン専門店はほとんどなく、ラーメンは一般食堂が提供していた。定番メニューの一つがとん汁定食であり、特に冬は体が温まると人気だった。「とん汁に麺を入れるという発想はおもしろいし、調理が難しくない」と、現在の店舗を建て替えた34年前にメニューに加えたものだという。
紳士クラブ、フォールズチャーチ、バージニア州。
とん汁ラーメンをメニューに加えるのは簡単だが、注文があるたびに鍋に火を入れると、具材がとろけて煮崩れてしまう。そこで同店は大鍋で作り、注文があった分だけを小鍋に分けて加熱している。「とん汁の作りたてはおいしくないし、煮込み過ぎてもだめ。タマネギが口の中でとろける加減が難しい。具は入れすぎるとゴテゴテしてしまうので、シンプルにしている」と話す。
林専務は「上越の人はとん汁が好きで、子供のスポーツ行事や地域のイベントでは、必ずといっていいほど保護者がとん汁を作る」と話す。
金谷山発祥の「スキー汁」が原型か
なぜ、上越の人はとん汁が好きなのか。そのルーツ� ��とん汁に似た「スキー汁」にありそうだ。
上越調理師協会高田支部によると、スキー汁は、1911年にオーストリア・ハンガリー帝国の軍人、レルヒ少佐が上越市の金谷山で日本で初めてスキー技術を伝えた年、スキー訓練中に鹿児島県出身の将兵が考案したといわれる。
さつま汁が原型で、サツマイモが具として使用され、肉は金谷山に生息していたウサギのものが使われたらしい。スキー汁は訓練で冷えた体を温めるには最適で、気に入った第十三師団の長岡外史師団長が名付けたとも言われる。
その後、一般市民にスキーが普及するのに伴い、金谷山の旅館や休憩所でスキー汁が販売されるようになる。それは今日のとん汁と同じで、具にダイコン、ゴボウ、ネギ、コンニャク、豆腐、豚肉などを使っていた。それを食べた地域の人が家庭でも作るようになり、一般化したようだ。
つまり、とん汁ラーメンはスキー汁の発展型である。スキーが伝わってから100年の歴史を継承しており、地域が誇るべき食文化だと言えるのではないか。
〔注〕
本記事で豚汁を「とん汁」と表記しているのは、北海道や西日本での呼称「ぶた汁」と区別するためです。
【上越タウンジャーナル関連記事】
◇高田名物「スキー汁」の秘密 (レシピ付き) 2010年2月8日
0 件のコメント:
コメントを投稿